コラム

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2016/06/27
第53回「雇用されることのメリットを理解し対応を取ることの重要性」

社員を雇うことと、社員として雇われることについては、表面的な分かり易い違いのほか、根本的かつ分かりにくい大きな違いがありますが、そのことがあまり注目されていないように感じます。その根本的かつ大きな違いは気づきにくいゆえ、マネジメントに実際に大きな影響を与えているにも関わらず、見過ごされることが多いです。今回はそのことについて触れていきます。

社員を雇うことと社員として雇われることの最大の違い、それは雇うことは自分の意思で簡単に辞められない一方、雇われることは自分の意思で簡単に辞めることができるということです。

社長が、社員に対してこの会社で働き続けてほしいと願い、客観的に最高によい働き方や条件を用意していても、社員のある思いの前には無力になることがあります。社員がいったん辞めたいと希望すれば簡単に辞めることができます。その際、いくら手を尽くしたとしても、その社員の行動にストップを掛けることは本人以外にはできません。

一方で、社長は雇うこと、つまり組織を作り事業を行うことについて、自分の意思で辞めることは簡単にはできません。いったん社員を雇った以上、雇い続けることは社長の義務となり、個人の自由意思が及ぼせる範疇ではありません。もし不幸にも会社を続けられなくなり社員を解雇する状況になったとしても、それは社長の自由意思によるものではありません。

つまり、社長は社員を雇い組織を作り上げたとたん、事業を廃業することが格段に難しくなります。その代わり社員に対して業務指示などの権限を掌握することになります。一方で、社員は雇われることにより、その会社での業務遂行義務を負う責任が出てきます。その代わり自らの意思で会社を辞める権利を得ることになるのです。

このように社長と社員の立場は根本的にまったく異なっており、その立場の違いは決して交わることはありません。社長は会社のすべての最終責任を負う立場であり、ある意味孤独な仕事です。したがって部下である社員にそのことを少しでも共有してもらいたい、その立場を理解して一緒に仕事をしてもらいたいと希望する気持ちが生じてくることは理解できます。実際、そのような思いを持つ社長は少なくありません。

しかし社員として雇われるということ自体が社長だけが持つことのできる領域に踏み込めなくなることを意味します。お互いの立場や役割を理解し尊重することは会社に限らず良好な人間関係を築く基本ですが、そのことはその立場や役割に入り込まないことで初めて成立するのです。

言い換えると、社員を社長の立場の領域に入り込ませてはいけません。同時に社長は社員の立場の領域に入り込んではいけません。組織立ち上げや急激な成長段階などでは社長がやむを得ず社員の役割を担うことはやむを得ません。しかし、最終的にはその立場を社員にきちんと担わせ、社長は社長だけしかできない仕事に注力する体制を作ることでしか、会社の存続の道はありません。そして、その基本的な姿勢と考え方が健全な組織を作り上げるベースとなります。

社長は辞められない世界で生きているからこそ、辞められる世界で生きている人のことを十分に理解できない、あるいはその思いにまで及ばないことがあります。たとえ以前は雇用される立場で辞められる世界で生きていたとしても、雇用する立場で辞められない世界にいったん入ってしまうと、その立場でしか物を見られないことは多くの人に共通することです。

社長は社員が会社を自由に辞められるという権利を持つことを現実の課題として受け止めると同時にそのことを最大限尊重しないといけません。その基本的な認識のもと、社員が自らの会社に居続けることの目的や意味づけをよく考えたうえで、それを最大限に実現するためのマネジメントの仕組みを作り続けていく必要があることを決して忘れてはいけません。

2016/06/18
第52回「頑張りや努力でなく客観的な事実で仕事を進める重要性」

業績が上がらない、あるいは目標を達成できない、組織や社員に共通して見受けられる特徴があります。それは頑張り、努力、執着などに代表される精神論が幅を利かせており、客観的な事実を捉えようとしない、あるいはそれを軽視して仕事を進めようとすることです。

目標が達成できなかった原因を社員一人ひとりに尋ねた際に、下記のような返答がある場合があります。
「頑張りが足りませんでした。」
「努力が足りませんでした。」
「目標を達成しようという執着心が足りませんでした。」
もし、これらの言葉が多く聞かれる場合には、組織や社員が危険な状態に陥っていることをよく自覚する必要があります。

社員が、仕事を頑張ってすること、目標達成に執着しようという気持ちを持つことを決して否定しているわけではありません。社員がそのような気持ちで仕事に取り組むことはむしろ素晴らしいことであると言えます。しかしそのような気持ちだけに焦点を当てすぎると、マネジメントを行う上での大事な本質を見誤ることになりかねません。

目標達成しない、仕事がうまくいかない真の理由は「頑張りが足りなかった」ことや「執着心が足りなかった」ことではありません。
そのような気持ちを強く持つだけで仕事がうまく行くようになるのでしょうか?
よく考えるとすぐに誤りに気づくはずです。

うまく行かない真の理由は、社員や組織の仕事のやり方のどこかに必ず潜んでいます。それを探るには、最初に自分たちが進めてきた仕事を客観的に振り返る必要があります。そして、それらの事実を分析し、うまく行かなった理由を整理したうえで課題として抽出する必要があるのです。そのプロセスのどこにも精神論が介在する余地はありません。

もちろん上記の客観的な事実から課題抽出に至るまでのプロセスを実行することは簡単ではありません。またそのプロセスをたどりたくないという何らかの理由が存在するために、上記のような精神論をもとに、意識的、無意識的に関わらず、事実と理由を明らかにすることを避けることは実際の現場ではよく見受けられます。

分かり易く整理すると、事実と理由の検証をやりたくても、どのようにしたらよいか分からないという問題は、社員の能力が発展段階にある中小企業に多く見受けられます。また、そのような面倒くさいプロセスは実行したくない、言われたことだけやっていればよいという問題は、組織運営に根本課題がある中堅以上の企業に多く見受けられます。

しかしいずれにしても、真に成果を出せる会社にするには、社員一人ひとりが、事実と理由を明らかにして課題を明確化する仕事のやり方を身につける必要があります。社長はそれができるような環境整備を行い、組織土壌を変える必要があります。これこそが多くの中堅中小企業の社長が第一優先で取り組むべき組織マネジメント向上のための方法であることは間違いありません。

頑張りや努力などの精神論は間違って使われると社員を追い詰めることにつながります。また精神論は問題の本質を覆い隠してしまい、マネジメントを質的に向上させるためには、邪魔になり得る存在に変化することもあるのです。

社員が何にも優先して仕事を頑張ろう、努力しようという気持ちは、その社員自身が心からそう思うからこそ貴重なのです。外部から直接働きかけてその気持ちを持たせようとすることは、特に、多様化する社員をマネジメントする前提に立てば、意図して避けていくことが賢明です。

2016/06/01
第51回「重要でなくなった仕事をやめる必要性を考える」

以前、ある中堅企業で実際に起きたことから今回のコラムを始めます。

社長がある部門に対して不満を持っていました。期待を掛けている部門であり、本部長が要求する通り、他の部門よりも優先して有能な社員を投入しています。しかし社員を増やしたにも関わらず、事前に期待している成果を上げることができていませんでした。さらに残業時間も増えるばかりで、そのことが社長の不満を増大させていました。

ある日、社長は部門の運営について本部長を問い詰めました。すると本部長は「社長が要求する仕事が多すぎて追いついていかない。」ことを訴えました。話を進めていくとどうも何か変だということに気づき、何が仕事を増やしているのか、その詳細内容を精査することにしました。

すると驚くことに時間を多く費やしている仕事のほぼすべてが現在では重要でない、あるいは優先順位が非常に低いことが判明しました。そしてそれらの仕事が部門業務全体を圧迫していることで、現在、社長が期待し要求している重要な仕事が十分にこなせていないことが分かったのです。

社長がそれらの仕事について何らかの形でやるように命じたことは間違いありません。現在では重要でない仕事も過去のどこかでは重要であり役立ったことも事実です。しかし現在必要でない仕事をこんなにもたくさん現場の社員がやっていたことについて、社長は驚くと同時に、心の中で大いに反省しました。

冒頭に触れた通り、この話はある会社の事例ですが、この現象は決してこの会社固有の話ではなく、多くの会社にある程度共通して見受けられることです。期待した通りの成果が上がらない場合、その組織が現在行っている仕事全体の棚卸を行うことにより、解決の糸口がつかめることがあります。

多くの中堅中小企業において、社長以外の人がどんなに必要性がなくなった仕事であってもその人の判断により、自主的にやめることはまずありません。一方、大企業では幹部や管理職が自主的に判断し、必要性がなくなった仕事をある時点でやらないようにしていることが多くあります。

組織が大きくなればなるほど、そのような仕事が増えてしまうようにも思いますが、実際のところはそうではありません。その理由として、大企業にはそれらのことを正しく判断・実行できる管理職がいることや、組織管理や仕事の管理を仕組みとして実行できていることが上げられます。しかしそれらだけでも説明できません。

それはどのような規模の会社であろうとも、社長の業務命令は公序良俗に反しない限り、絶対であるからです。たとえそれが必要なかろうと組織の成果を上げるものでないことが事前に分かっていても、社長の業務命令である限り、その仕事はやる必要があるからです。それは特に中堅中小企業に共通して現れやすい顕著な特徴です。

中堅中小企業の場合、社長は現場で行われている仕事が、詳細は分からないまでも、ある程度は肌感覚で感じられることから、どうしても気になり、仕事の内容や時にはやり方までも細かく指示を出してしまうことがあります。そのことで社長自らが仕事を増やします。

また大企業と比べて、社長と社員の距離が近いです。このことはメリットと同時にデメリットにも働きます。社長から直接指示された、あるいは関係している仕事は、よほどのことがない限り社員の意思でやめることができません。つまり社長が明確に意図しないまま、仕事を増やしている可能性が高いのです。

仕事を始める際に、なぜ何をどのようにどれくらいの達成水準でいつまでにやるかは、上司と部下がしっかりとしていれば話し合われます。しかし、その仕事は1回だけ必要なのか、1年間必要なのか、仕事をやめるタイミングについて話し合われることはありません。

そしてその仕事が定型化していくと、なぜその仕事が必要なのかを誰も考えないまま、組織にとって当たり前の仕事として実行され定着します。
定型の仕事ほど、社員にとって精神的に楽なものはありません。したがって他の重要かつ優先順位の高い仕事が出てきた場合であっても、精神的に楽な仕事が無意識に優先され社長の不満がたまるか、またはすべてをていねいにやろうとして社員が疲弊してしまいパフォーマンスが下がるかのどちらかの現象が起こることになるのです。

中堅中小企業の場合、仕事の優先順位をつけるだけでは問題が解決しないことが多いです。重要かつ優先順位が高い仕事を特定すると同時に、現在では必要性が高くない仕事をやめる決定をすることが非常に重要であり、それは社長にしかできないことを十分に心得る必要があるのです。

2016/05/01
第50回 「成果主義が失敗する原因について考える」

成果主義や成果主義を全面に掲げた役割等級制度、職務等級制度を根幹とする人事制度が導 入され始めてから、もうずいぶん長い年月が経ちます。従来の能力を主軸に長期スパンで考える職能資格制度を根幹とする人事制度からの変更は、会社のみなら ず社員にも非常に大きなインパクトを与えたことは事実です。ではそれが本当に成功したかどうかについては議論が分かれます。

もちろん成功 か失敗かについては単純に論じられない面があります。仮に現在うまくいっていないとしても、その原因を成果主義や役割等級制度を主体とする人事制度だけに 帰結させることについては慎重に考える必要があります。世間では成果主義がうまくいっていないということが多く言われていますが、自分の会社ではどうなっ たかを冷静に考える必要があることも事実です。

しかし、成果主義を導入したが、いろいろな弊害や予想外の事態が起きて困っているという話は身近でも多く聞くことも事実です。

つ い、先日もある会社からご相談をいただきました。数年前に職能資格制度から成果主義人事制度に切り替えたが、いろいろな問題が起きて困っているようです。 成果主義人事制度導入の背景として、社員の意識を大きく変えたい目的があったとのことですが、現在多発している様々な問題はどれも看過できません。まずは 問題の根本の原因を多面的に探ることから始め、人事制度の検証を行うことになりそうです。

人や組織のマネジメントを考える場合、一番難し いのは、正解なやり方はその会社ごと、さらにはその時の状況によっても異なることです。人事制度だけで考えても、職能資格制度がよいか、役割等級制度がよ いかは、一概に言い切ることはできません。タイミングを間違えただけでうまく行かないというケースさえあり得ます。

個社名はあえて出しま せんが、年功序列を明言し長期に渡って成長し続ける会社、職能資格制度と実力主義を旗頭にグローバルのトップを走り続ける会社、徹底した成果主義で急成長 を果たした会社、があります。それぞれ違うアプローチながら目的を達成している事例を見ると何がよいのかを言うことの難しさが分かります。

しかし、これだけはどの会社でも共通する重要なポイントがあります。
それは成功する会社は、必ず人材育成の仕組みを備えており、その継続実践が会社の強さを作り出している根本となっていることです。

成 果主義が成立する前提は人材を育成する仕組みを備えておりそれを実行することです。しかし成果主義そのものには人材を育成する機能はありません。したがっ て成果主義を入れるであれば必ず人材育成機能をどうやって備え実践するかをセットで考える必要があります。しかし多くの会社はそのことを考えていないか、 考えていても有効に機能していないかのどちらかの状態に陥っています。

成果主義が失敗する真の原因はここにあります。社員に厳しさを求めるのであれば同時にどうやって社員の成長を支援しケアするかを実現していくことです。このことを真剣に考え、実行することでしか、成功への道は残されていないのです。

2016/04/01
第49回 「人材育成の前提と重要性を考える」

前の話ですが、あることがきっかけで知り合いになり、その後おつき合いいただいている社員30名規模の中小企業の社長から本音としてこのような趣旨のことを言われました。
「社員を育てるという考え方は分かるが、社員に研修を受講させるのは効果が低いと思う。そのようなことよりも、研修は自分(社長)だけが受けて、必要があれば知識を社員に教えれば事足りる。」

またこれも上記と同様に前の話ですが、ある中堅企業の役員(人事を所管する実質会社No.2の立場)から、本音としてこのような趣旨のことを言われました。
「社長から社員研修を充実させろと何度も言われているが、研修を受講させるのは意味がないと思う。いくら良い研修であっても実際の業務にどれだけ役立つか分からない。そして受講後すぐはともかく効果は長続きしないと思う。」

上 記2つはもちろん全く異なる場面で発せられたものですが、人材育成と教育研修に関する本音という意味では共通しています。私に本音を話してくれた2人とも 分別わきまえた立派な方であり、単なる不平・不満に終わらせてはならないものです。それだけに非常に重く受け止めなければならない指摘です。その時の内容 は今でも私の中にずっと残っています。

なぜ、この2つの発言を取り上げたのか、それはこの疑問に現在の人材育成や教育研修に対する問題点や課題の本質の一部が凝縮されているからです。

企 業での人材育成は、従来から基本的にOJTと教育研修の2つで構成されています。その2つともに今までは多くの企業に大きな効果をもたらしたものですが、 現在は環境の変化を受けた影響から転換期を迎えています。しかしこの2つに代わる決定的な有効策は現在のところ見いだせているとは言えないかもしれませ ん。

OJTは労働環境や仕事の変化により従来と比較し機能しなくなったと考えられます。この原因を社員の資質の変化に帰結させるような議論も一部ありますが、必ずしもそれだけではありません。以前は自分がたどってきた仕事の知識ややり方を教えるだけでそれなりの効果が出せたのが、今は環境変化が激しくなり、それだけでは対応しづらくなってきたのです。そう考えるとOJT機能不全の原因を社員だけに求めることは難しいことが理解できます。

また教育研修も同様です。以前はいかに物事を知識として知っておくかだけで大きなアドバンテージを得ることができました。しかし今ではある意味知識が簡単に手に入ります。したがって教育研修で知識だけを伝授する価値はなくなってはいないものの相対的には減ってきている状況があります。

OJT と教育研修の問題を克服し新しいスタイルの人材育成は、様々な場面で模索され、日々新しい取組みがあちらこちらで実践されています。もちろん私もその一人 で日々のコンサルティング活動において試行錯誤しながらも有効な方法を見つけ出しています。その概要は今後本コラムでも順次触れていきますが、人材育成を 考える際に欠かせない重要な前提があります。

それは人材育成が組織の力を最大限発揮するために欠かせない要因であることを確信することです。100 人の組織であれば、100人分のパフォーマンスだけでは今後競争に勝ち抜くことは難しいです。200人、300人分、あるいはそれ以上のパフォーマンスを 上げることが必要であり、それには人事制度という環境整備と同時に人材育成を継続的に行うことしか達成の方法はありません。

人材育成をどういった方法で行うか、教育研修では何を行うかの議論はもちろん必要です。しかし組織として仕事を行う以上、どの規模の会社であれ、人材育成は必ず必要であることを十分に心得、具体的な対応を取ることが求められています。

2016/03/01
第48回「仕事の割り振りを行う上での基本的な考え方」

前回、仕事の優先順位づけだけでなく、必要性が低くなった仕事を見極め思い切ってやめることで成果を上げる方策とする話をしましたが、今回はそれと同時に考えなければならないことをお話しします。それは仕事の割り振りをどのように考え行うかについてです。

言うまでもありませんが、会社にはたくさんの重要かつ必要な仕事があります。それを限られた人数でどのように遂行していくかは実は大きな経営課題です。大企業でかつ伝統企業の場合、職務分掌や職務記述書などを使用する場合がありますが、中堅中小企業の場合、それを導入していくことはいろいろな点で難しく現実的でない面があります。

また、仕事の割り振りを決める場合、その重要性・必要性という観点から決めるという考え方はありますが、その方法は、ある一部の人に集中してしまう弊害が出てきます。重要であるかないかでいえば、すべてが重要であるというしかありません。その重要な仕事のすべてを社長がやるということは組織で仕事をする以上、ありえないのは少し考えるとすぐにわかります。またそのようなやり方では、ある壁を突破することは不可能です。

しかし、私が過去に見聞きした中堅中小企業のほとんどは、上記のようなやり方をしていました。つまり、重要であるから重要の順番に社長がやる、社長がやり切れない部分は幹部がやる、幹部がやり切れない部分は社員がやるといった感じです。非常事態・緊急事態であれば話は別ですが、日常の仕事について、重要性だけで判断すると、このように何かおかしなことになります。

中堅中小企業にとって、仕事の割り振りを、重要性・必要性の観点ではなく、その仕事がどの程度の期間続くものであるのか、さらにはっきりと結論が出してしまえる仕事であるかどうかにより考え判断する方がシンプルかつ実践的に解決できることがあります。

分かり易いように具体的にいうと、1年くらいまでのスパンでかつはっきりと結論が出る仕事は、社長ではなく、経営幹部、管理職を含めた現場が主体的に担当して行うような仕事の仕組みづくりをしていくことが必要です。
では、社長は何をしなければならないのか、それは、1年以上長期にわたって取り組まなければならない仕事や、はっきりと結論が出ないような仕事です。

もちろん組織の状況にもよりますが、社長は、基本的に長期スパンで考えなければならない仕事に注力すべきです。
3年後、5年後、10年後の姿を具体的に考え、あらゆる仕組みをどのように構築していくか、戦略を練り具体的な行動計画(=経営方針や経営計画)を策定することです。そしてその計画実行に耐えられるような人材をどう育成していくかについて考える必要があります。

多くの中堅中小企業の場合、これらの長期かつはっきりと結論が出にくい仕事は、社長がやるしかないのです。さらに付け加えると、人材育成は1年で結果がでるものではありませんし、どのような人材が育てばよいか、その正解は社長が考え、判断するしかないのです。

大企業の場合、人事制度や人材育成といった課題は専門部署が対応していますが、中堅中小企業の場合、それは社長が考えるべきことになります。日々の事業活動、営業活動は社員に任せて、社長は社員にはできない人材育成について考え、具体的な実行に移すことです。もし日々の事業活動、営業活動を社員に任せられないのであれば、任せるようになるにはどうやればよいのか、このことはまさしく人材育成の課題になるのです。

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